琴後集

琴後集

和歌文学大系72

「琴後集」は、賀茂真淵門下で、京の香川景樹を痛烈に批判した江戸派の村田春海の作。歌集は長歌・旋頭歌を含め、一六五〇首余りあり、優美なことば・典雅な調べを特徴とする。

  • 著者
  • 村田春海 原著/久保田淳 監/田中康二
  • 出版社
  • 明治書院
  • 出版年月
  • 2009年12月
  • ISBN
  • 9784625414015

家集『琴後集』の著者、村田春海 (1746~1811) は近世和歌において加藤千蔭と共に江戸派の双璧と謳われた。豪商の家に生まれ、賀茂真淵の県門に入り、吉原の遊女を身請けして財産を蕩尽し、晩年は詠歌と国学に精進した「琴後翁」の歌文集『琴後集』のうち家集九巻一六八四首に初めて詳注を加えた。『万葉集』『古今集』『新古今集』はもとより、『堀河院百首和歌』『為忠家初度百首』などの古典、さらに師真淵や親友千蔭の詠草からも貪婪なまでに詞藻を探った、歌詠み春海の真面目を明らかにした。なお、平成二十二年 (2010) は春海の二百年忌に当たる年である。

人文学研究科准教授・田中康二