国際教育協力の社会学

国際教育協力の社会学

途上国の教育に焦点を当て、経済学、法学、政治学など社会諸科学との密接な連携のもとに、いかなる教育協力、教育支援が日本に、われわれに可能であるのかを追究する。

  • 著者
  • 山内乾史 編著
  • 出版社
  • ミネルヴァ書房
  • 出版年月
  • 2010年11月
  • ISBN
  • 9784623058938

本書は、2007年3月に刊行された『開発と教育協力の社会学』の改訂版です。本学国際協力研究科の教員、院生、関係者を中心に執筆されたものであり、国際教育協力、国際教育開発の入門書です。これらの領域は、従来の比較教育学とは異なり、先進国の教育ではなく、途上国の教育に焦点を当て、経済学、法学、政治学など社会諸科学との密接な連携のもとに、いかなる教育協力、教育支援が日本に、われわれに可能であるのかを追究する領域であると言えます。

もちろん、途上国の教育だけではなく、日本国内の移民、難民など、支援、援助を必要とする子どもたちも重要な考察の対象であり、本書でも取り上げております。

本書は大きく二部からなり、第一部はこの領域の基底的研究として重要な国際理解教育や開発教育、日本の留学生受け入れ政策、東アジアの高等教育政策などの理論的な研究を扱っています。第二部は移民、難民の子弟に対する教育のケース・スタディ、さらにはもっとマクロな他の社会諸科学、特に経済学と深く関連する教育開発と教育協力のケース・スタディ、グァテマラの教育改革などを取り上げました。この領域に関心を持つ方々に広く読んでいただければ幸いです。

大学教育推進機構/大学院国際協力研究科教授・山内乾史


目次

  • 第Ⅰ部 理論編
    • 第1章 国際理解教育の可能性 ──米英仏のケース・スタディから
    • 第2章 欧米諸国における開発教育の変遷
    • 第3章 日本における開発教育の変遷
    • 第4章 難民ニューカマーの子どもの教育と職業
    • 第5章 低賃金で働く「使い捨てられる」若者たち
    • 第6章 日本の留学生受入れの現状
    • 第7章 グローバル経済化と高等教育の国際化 ──香港とシンガポールの教育政策と産業政策の考察
  • 第Ⅱ部 実践編
    • 第8章 アジアの高等教育発展 ──国際教育交流と高等教育協力
    • 第9章 教育の分権化と教員としての職業意識の変化 ──インドネシア 西ジャワ州のケース・スタディから
    • 第10章 外国人生徒への教育支援 ──イタリアのケース・スタディから
    • 第11章 労働市場参入への教育の役割 ──トルコのケース・スタディから
    • 第12章 地域住民参加による基礎教育の推進 ──イエメンのケース・スタディから
    • 第13章 教育・貧困を取り巻く社会構造 ──ケニアのケース・スタディから
    • 第14章 農村小学校における複式学級の現状と課題 ──日本・ネパール・ザンビアの比較事例から
    • 第15章 グァテマラ教育改革の新展開 ──政府・教育省と教員組合の対立緩和がもたらすもの