国際人権法の国内的実施

国際人権法の国内的実施

講座国際人権法3

国際人権法の国内実施に伴う理論的課題とともに、日本における実施に関する実務上の課題を析出する。

  • 著者
  • 芹田健太郎, 戸波江二, 棟居快行, 薬師寺公夫, 坂元茂樹
  • 出版社
  • 信山社
  • 出版年月
  • 2011年04月
  • ISBN
  • 9784797216837

国際人権法学会20周年の記念事業として刊行された『講座国際人権法』第3巻と第4巻は、2006年11月に刊行された第1巻と第2巻が国際人権規範の形成と展開という規範内容に重点を置いていたので、より広く今日的要請に応えられるものとして、国際人権規範の実施に焦点を当てることとした。

第3巻『国際人権法の国内的実施』は、国際人権法の国内実施に伴う理論的課題とともに、日本における実施に関する実務上の課題を析出することを目的としている。収録された論文を読めば、日本における国際人権法の国内実施の現状をご理解いただけるものと思う。

個人通報制度を定めた国際人権規約自由権規約の第1選択議定書や女性差別撤廃条約の選択議定書などの批准のための作業が関係省庁で始まるという節目の年に、国際人権法の実施に関する『講座国際人権法』第3巻と第4巻を発刊できたことは、大いに意義深いものと自負している。

大学院法学研究科教授・坂元茂樹


目次

  • 第1部 総論
    • 1 国際人権保障における自治体の権能と義務
    • 2 国内裁判所における国際人権の適用をめぐって
    • 3 日本の裁判所における国際人権規約の解釈適用 ――一般的意見と見解の法的地位をめぐって
    • 4 国際人権法における国内人権機関の役割と機能
    • 5 アセアンにおける人権機関の成立
  • 第2部 各国の国内裁判における国際人権
    • 6 フランスの国内裁判における国際人権 ――欧州人権条約およびEU法との交錯
    • 7 国際人権条約の司法的国内実施の意義と限界 ――新たな展開の可能性
    • 8 欧州人権・基本権保障の中のドイツ連邦憲法裁判所
    • 9 アメリカ裁判所における国際人権法の援用
    • 10 韓国の国内裁判における国際人権
  • 第3部 国内裁判における国際人権法の国内実施
    • 11 生命の権利と死刑
    • 12 刑事捜査における人権 ――自由権規約第5回報告書審査を通じて
    • 13 国際人権法上の国家の義務と被疑者,被告人の権利
    • 14 受刑者処遇における国際人権法の国内実施 ――長期独居拘禁問題を素材として
    • 15 国際人権と福祉
    • 16 ジェンダー関連領域における国際人権法と国内裁判
    • 17 重大な人権侵害と戦後補償裁判