IR実践ハンドブック

IR実践ハンドブック

大学の意思決定支援

学習成果や学内のデータを収集し分析した情報を、自己評価や質保証、計画策定につなげていくIR。担当者が心得ておくべきツールやデータ分析の手法、学内への貢献の仕方を解説。

  • 著者
  • リチャード D. ハワード 編/大学評価・学位授与機構IR研究会 訳
  • 出版社
  • 玉川大学出版部
  • 出版年月
  • 2012年03月
  • ISBN
  • 9784472404535

政府の財政緊縮政策による高等教育予算の縮減、教育のグローバル化に伴う世界規模での競争の激化等、昨今の日本の大学を取り巻く環境は厳しさを増す一方である。こうした外部環境及び政策要請への対応策のひとつとして、日本の大学実務者や高等教育政策立案者は、米国の高等教育機関において経営支援を掌るInstitutional Research (IR) に強い関心を示している。本書は、これらの関心に応えるとともに、日本の大学におけるIRの適応可能性についてもなんらかの示唆をもたらすことを企図して編成された大学評価・学位授与機構IR研究会によって刊行された。

本書は、「Richard D. Howard (ed.), Institutional Research: Decision Support in Higher Education, Association for Institutional Research, 2001」の全訳である。原著は、米国の大学のIR担当者約4,000名が加入している米国IR協会 (Association for Institutional Research:AIR) が発刊する叢書「Resource in Institutional Research」の1冊である。本叢書は、出版当時 (2001年) のAIR年次大会の7つの分科会構成をそのまま章立てに用いており、IRの歴史や概念、IRが関与する主要な領域に関する知識、さらには、現実の大学組織の中でIRを機能させるためのノウハウを実務的かつ理論的に整理した書籍となっている。

本書では、原著の全訳に加え、巻末に訳者解題として、翻訳の意図、米国におけるIR機能発展の背景、日本へのIRの適応可能性が示されるほか、各章の概要を参考として収録することで、日本の読者にとって読みやすい構成となっている。IR担当者が具えておくべき基本的な知識、日米における高等教育政策及び評価制度の変遷等の理解のみならず、大学経営の参考書としても大いに活用されることを願っている。

なお、神戸大学からは企画評価室の浅野茂が本書の訳者の一員として執筆に携わっている。

企画評価室・浅野 茂


目次

  • 第1章 エンロールメント・マネジメントと学務
  • 第2章 大学教育の有効性、学生の学習、成果のアセスメント
  • 第3章 教育プログラムと教員の問題
  • 第4章 資源管理及び質の向上
  • 第5章 計画策定と政策分析
  • 第6章 IRの理論・実務・職業倫理
  • 第7章 IRのための技術とツール