陶淵明

陶淵明

〈距離〉の発見

中国六朝期を代表する詩人、陶淵明。近景と遠景の描き方、作者の視線、距離感などに注意しながら、独特の風景観が形成されていく過程を明らかにする。

  • 著者
  • 釜谷武志
  • 出版社
  • 岩波書店
  • 出版年月
  • 2012年09月
  • ISBN
  • 9784000283014

本書は、東西の古典を新たな角度から読み解く「書物誕生 あたらしい古典入門」シリーズの一冊である。中国六朝期を代表する詩人陶淵明(365−427)は、彼が生きた時代においては評価されていなかった。本書の第1部では、陶淵明の同時代から近代中国に至るまで、そして日本において、どのように読まれてきたかをたどりながら、その真価が認められるようになった経緯を探求する。第2部ではいくつかの作品を読み解く。彼の作品から受ける、ゆとりや伸びやかさが、何に起因するのかについて、近景と遠景の描き方、作者の視線、距離感などに注意しながら、独特の風景観が形成されていく過程を明らかにする。

人文学研究科・教授 釜谷武志


目次

  • プロローグ「悠然として南山を見る」
  • 第I部 書物の旅路 -陶淵明とその後
    • 第一章 陶淵明の生涯
    • 第二章 「隠者の詩人」としての評価 ―南北朝時代
    • 第三章 「高士」としての生き方 ―唐代
    • 第四章 陶淵明の真価を認識―宋代~清代
    • 第五章 近代中国の淵明観 ―民国以降
    • 第六章 日本ではどう読まれてきたか
  • 第II部 作品世界を読む -陶淵明の視線
    • 第一章 「見」るということ
    • 第二章 「望」むということ
    • 第三章 「悠然」について
    • 第四章 距離の発見
    • 第五章 風景の発見
  • エピローグ「悠然として南山を望む」