国際裁判の判決効論

国際裁判の判決効論

国際裁判における既判力原則、不服申立手続、無効原因論の分析を通じて、裁判観念の法構造とその根拠を明らかにするとともに、問題点を指摘する。

  • 著者
  • 玉田大
  • 出版社
  • 有斐閣
  • 出版年月
  • 2012年10月
  • ISBN
  • 9784641046610

近年、日本の周辺でも国際紛争・国際問題が増えてきました(竹島、尖閣、北方領土、捕鯨、慰安婦、戦時徴用など)。こうした国際紛争を(武力ではなく)平和的に解決するための手続が国際裁判です。国連の司法機関として、国際司法裁判所が利用されています。では、国際裁判で判決が出た場合、それはどこまで法的な意味があるのでしょうか。判決が「間違っている」と考える敗訴国はどのように対応すればよいのでしょうか。本書では、国際裁判の判決が下された場合の法的問題を検討しています。当然に判決には法的拘束力があり、遵守義務が発生します。さらに、一審終結で上訴がありません。他方で、敗訴国は判決解釈や判決再審を利用したり、判決の無効を主張したりします。本書では、こうした問題を広く扱うことにより、国際裁判判決の特徴として「終結性」と「無謬性」があることを明らかにしています。

法学研究科・准教授 玉田大


目次

  • 序章 議論の終わり
    • 争点
    • 本書の立場
  • 第1章 既判力原則
    • 既判力原則の根拠
    • 既判力原則の内容
    • 判決の拘束力と「正しさ」
    • 判決の終結性と「正しさ」
  • 第2章 判決再審
    • 事実認定の「正しさ」
    • 再審事由の変遷
    • 再審手続と既判力原則
  • 第3章 判決解釈
    • 判決解釈の前提
    • 既判事項の特定 ─第1段階
    • 既判事項の説明 ─第2段階
    • 既判事項の訂正 ─第3段階?
    • 不確定性の拡散
  • 第4章 権限踰越
    • 議論構成
    • 実体的考察
    • 手続的考察
  • 第5章 理由欠如
    • 判決理由と司法性
    • 理由欠如と判決無効
  • 終章 議論の始まり
    • 分析結果
    • 議論の終結性
    • 議論の継続性
    • 裁判の暫定性