沖縄のシマ社会への社会教育的アプローチ

沖縄のシマ社会への社会教育的アプローチ

暮らしと学び空間のナラティヴ

「シマ」と呼ばれる、沖縄の集落での日常の生活実践がもつ教育的な意味を検討する。学校型の教育モデルを克服しようとする試み。

  • 著者
  • 末本誠
  • 出版社
  • 福村出版
  • 出版年月
  • 2013年08月
  • ISBN
  • 9784571410529

この本は、「シマ(生まれジマ)」と呼ばれる、沖縄の集落での日常の生活実践がもつ教育的な意味を、ライフヒストリーないしはナラティヴという方法を用い、シマ社会に内在する観点から一つの解釈として示そうとしている。沖縄の集落では、字公民館(区事務所)を拠点にして、伝統的な年中行事(神行事)や生年合同祝い、学事奨励会、区行政の集まり、スポーツ行事などの、さまざまな活動が展開している。本書が目指したのは、これらの活動がもつ「学び」としての意味の解明であり、教育論的には学校型の教育モデルを克服しようとする試みに属する。本書ではシマ社会をひとつの小宇宙と捉え、そこにある意味の違いに注目しながら、観点を字公民館→地域課題の変遷(名護市辺野古区)→字誌づくり→村踊り→人生の出来事へと移行、深化させながら、それぞれがもつ「学び」としての意味を検討している。

人間発達環境学研究科・教授 末本誠


目次

  • 第1部 前提
    • 第1章 問題としての集落と日常の生活的実践
    • 第2章 研究対象としての沖縄集落
    • 第3章 字公民館の成立過程と集落の生活的実践――教育制度論的前提
  • 第2部 シマ社会
    • 第4章 地域課題の変遷とシマ社会――地域社会教育論的アプローチ
    • 第5章 字誌づくりの意味世界――エスノメソドロジー的解釈の試み
    • 第6章 字誌と住民の沖縄戦体験記録――その社会的ダイナミズム
    • 第7章 集落芸能の社会教育的意義――村踊りと青年
    • 第8章 集落の生活的実践と「個」――「人生の出来事」研究から
  • 第3部 総括
    • 第9章 沖縄社会教育とは何か