EU統合の深化とユーロ危機・拡大

EU統合の深化とユーロ危機・拡大

シリーズ激動期のEU

激動のEU経済統合の歴史、ユーロを中心とした経済政策、そして東方拡大・移行についての分析。

  • 著者
  • 久保広正, 吉井昌彦 編著
  • 出版社
  • 勁草書房
  • 出版年月
  • 2013年03月
  • ISBN
  • 9784326546374

本シリーズ3巻は、EU Institute in Japan, Kansai (EUIJ関西) の過去8年間の共同研究の成果である。EUIJ関西は、EU (欧州連合) に関する教育・学術研究の促進、広報活動の推進や情報発信を通して日・EU関係の強化に貢献するため、2005年4月1日に、欧州委員会の資金援助により神戸大学・関西学院大学・大阪大学からなるコンソーシアムとして設立された。2009年4月1日には、京都大学経済研究所および関西大学を協定校として組織を拡大して第2期を開始し、2013年4月1日には、和歌山大学、香川大学、奈良大女子大学を協定校としてさらに組織を拡大して第3期を開始した。

EUIJ関西の活動期は、EUにとって激動の時代であったといえよう。まず拡大においては、2000年代に旧社会主義国であった中東欧諸国など12ヶ国が加盟し、それまでの15カ国から一挙に28カ国に加盟国数が増えた。

しかし、深化において変化はさらに著しい。2009年12月にリスボン条約が発効し、EUは新たな深化の時代に入ったものの、それに相前後して起きた欧州ソブリン危機は、ユーロ圏の分裂の可能性など深刻な問題を提起してきた。われわれは、60年の深化の経験を通して、さらに統合を強めながら、EUはユーロ危機を克服するものと信じているが、予断は許さない状況である。

本書は、EUIJ関西に関係する経済、経営、法・政治グループの研究者が、これらのEUの複雑な問題を解き明かそうとする一つの試みである。EUに関心を持つさまざまな方々に本書が有益である。


目次

  • 第1部 EU経済統合
    • 第1章 戦後ヨーロッパ統合の進展――貫かれる超国家主義と危機の克服
    • 第2章 リスボン条約およびユーロ危機を踏まえたEU機構改革
  • 第2部 ユーロ危機
    • 第3章 中央銀行の政策手段とその限界――ECBと「ユーロ危機」
    • 第4章 欧州中央銀行の市場との対話――ECBのコミュニケーション政策は欧州危機に対して効果があったのか?
    • 第5章 ユーロ拡大とユーロ危機
  • 第3部 EU拡大
    • 第6章 EU加盟前後におけるポーランド経済の変動
    • 第7章 ハンガリー――なぜEU新加盟の先導国から問題国になったのか
    • 第8章 ロシア・EU経済関係
  • 第4部 日本とEU
    • 第9章 日本・EU関係の将来