EU経済の進展と企業・経営

EU経済の進展と企業・経営

シリーズ激動期のEU

EU経済について、人材育成策、ブランド戦略、再生可能エネルギー政策などさまざまな観点から、中長期的にその潜在成長力を高める政策をさぐっていく。

  • 著者
  • 久保広正, 海道ノブチカ 編著
  • 出版社
  • 勁草書房
  • 出版年月
  • 2013年02月
  • ISBN
  • 9784326546381

本シリーズ3巻は、EU Institute in Japan, Kansai (EUIJ関西) の過去8年間の共同研究の成果である。EUIJ関西は、EU (欧州連合) に関する教育・学術研究の促進、広報活動の推進や情報発信を通して日・EU関係の強化に貢献するため、2005年4月1日に、欧州委員会の資金援助により神戸大学・関西学院大学・大阪大学からなるコンソーシアムとして設立された。2009年4月1日には、京都大学経済研究所および関西大学を協定校として組織を拡大して第2期を開始し、2013年4月1日には、和歌山大学、香川大学、奈良大女子大学を協定校としてさらに組織を拡大して第3期を開始した。

EUIJ関西の活動期は、EUにとって激動の時代であったといえよう。まず拡大においては、2000年代に旧社会主義国であった中東欧諸国など12ヶ国が加盟し、それまでの15カ国から一挙に28カ国に加盟国数が増えた。

しかし、深化において変化はさらに著しい。2009年12月にリスボン条約が発効し、EUは新たな深化の時代に入ったものの、それに相前後して起きた欧州ソブリン危機は、ユーロ圏の分裂の可能性など深刻な問題を提起してきた。われわれは、60年の深化の経験を通して、さらに統合を強めながら、EUはユーロ危機を克服するものと信じているが、予断は許さない状況である。

本書は、EUIJ関西に関係する経済、経営、法・政治グループの研究者が、これらのEUの複雑な問題を解き明かそうとする一つの試みである。EUに関心を持つさまざまな方々に本書が有益である。


目次

  • 第1部 EUの政策と産業
    • 第1章 EUにおける人的資本強化策
    • 第2章 ユーロ危機――教訓と解決策
    • 第3章 EUにおける労使関係――VWの事例
    • 第4章 フォルクスワーゲンの「社会的」ブランド戦略――ランボルギーニとのモジュール型経営(MQB戦略)を中心に
    • 第5章 EUにおける再生可能エネルギー政策と「ポーランド問題」
  • 第2部 コーポレート・ガバナンスと経営理論
    • 第6章 ヨーロッパ型企業モデルとコーポレート・ガバナンス
    • 第7章 ドイツのコーポレート・ガバナンスと共同決定
    • 第8章 ドイツのコーポレート・ガバナンスと資本市場
    • 第9章 ドイツにおける経営学理論の動向