特許法入門

特許法入門

特許法について基本的な情報を提供することを目的とした入門書。基本はもちろん、最新の法改正や裁判例、学説も掲載。

  • 著者
  • 島並良, 上野達弘, 横山久芳
  • 出版社
  • 有斐閣
  • 出版年月
  • 2014年12月
  • ISBN
  • 9784641144507

特許法は、知的財産法の中でも取っつきにくい法分野だと言われます。たしかに、著作権法とは違って、権利の発生や維持に特許庁での複雑な手続きが絡みます。また、商標法のように身近なブランドが対象となるわけでもありません。何より、理科系のバックグラウンドを持たない多くの学生・実務家にとっては、発明の技術内容を理解できないことへの恐れが先立つようです。しかし、手元のスマートフォン1つをとってみても、部品やプログラムなどに数多くの発明が利用されています。我々の生活を取り囲む無数の優れた技術と、その創出を促す特許法は、天然資源に乏しく労働人口も減少して行くこれからの日本社会において、その重要性を失うことはありません。

本書は、そうした特許法について基本的な情報を提供することを目的とした入門書です。私たち執筆者は、5年前に『著作権法入門』を刊行し、幸い多くの支持を得ることができました。このたび、その姉妹版として本書を世に送ります。前書と同じく、初学者に適したオーソドックスな順序で基本から説き起こし、法改正や裁判例はもちろん学説についても最新情報を随所に盛り込みました。法学部・法科大学院での教科書として、そして企業や司法の場で特許法実務に携わる際のハンディーなガイドとしても、本書が活用されることを願っています。

旅行ガイドブックがそうであるように、本書だけで学問や実務の最前線を歩けるわけではもちろんありません。しかし、私たち執筆者は、本書で特許法学の名所旧跡を余さず紹介し、旅先としての魅力を伝えようと努めました。そして、特許法の魅力を伝える手段として私たちが取った執筆方針は、結局、前書『著作権法入門』と同じものでした。すなわち、制度の趣旨・目的や概念の定義をできるだけ明確に記述すること、そして実例や図表をふんだんに用いてそれらの具体的イメージを提供することです。そこには、年齢的にはすでに学会の中堅に差し掛かった私たち3名の、これまでの経験と成果が盛り込まれています。入門書という体裁を取りながら、本書が私たちの研究・教育活動における中間報告でもあるという前書の性質は、本書にも受け継がれています。

法学研究科・教授 島並良


目次

  • 第1章 特許法への招待
  • 第2章 特許発明
  • 第3章 発明者
  • 第4章 特許取得手続
  • 第5章 異議・審判・再審・審決取消訴訟
  • 第6章 特許権
  • 第7章 権利の活用
  • 第8章 権利侵害