実験経済学入門

実験経済学入門

需要と供給の関係の検証手法である「ダブルオークション」の実験の仕方を、実験経済学の基礎的な考え方や、実際に行った実験結果の検討をまじえながら解説。

  • 著者
  • 下村研一
  • 出版社
  • 新世社
  • 出版年月
  • 2015年09月
  • ISBN
  • 9784883842292

昔経済学者は「需要と供給」という言葉を繰り返すオウムだと言われた。需要と供給の関係、あるいは需要曲線と供給曲線の基礎理論は中学でも教えられているので、大学生は当然知っていることとされている。だがこの理論は実験で確かめられるのだろうか。もし確かめられるのであれば、どうすればよいのか。本書では、需要と供給の関係の検証手法である「ダブルオークション」の実験の仕方を、筆者の経験を踏まえてできるだけ丁寧に解説したつもりである。需要と供給の関係で商品の価格が決まることが、どのようなときにどのような意味で「良い」とされるのか、あるいはどのようなときにどのような意味で「良くない」とされるのかも理論に基づいて書かれているが、理論より実験の方法を知りたい読者は飛ばし読みして頂いて構わない。本書ではまた2015年の大学入試センター試験で「現代社会」と「政治経済」の2科目で需要曲線と供給曲線の基礎理論が出題されたことを例に挙げ、大学教員の読者に対し、経済学の授業中にダブルオークションの実験を実施することで学生に需要と供給の世界を体験させることも奨励している。

経済経営研究所・教授 下村 研一


目次

  • 序章 なぜ「理論ある実験」か
  • 1 完全競争の基礎理論:経済実験の原点
  • 2 完全競争の部分均衡
  • 3 ダブルオークションによる実験
  • 4 経済モデルと実験結果
  • 5 ダブルオークションによる再実験
  • 6 外部性:完全競争市場の中で
  • 7 外部性:調整過程とピグー税
  • 8 外部性:コースの定理とその向う側
  • 終章 経済実験を教育現場に