ミクロ経済学の基礎

ミクロ経済学の基礎

ベーシック+

政策や価格戦略など、身近な問題に使われるミクロ経済学の基礎知識を、一般的な行動と関連させながらやさしく説明。

  • 著者
  • 小川光, 家森信善
  • 出版社
  • 中央経済社
  • 出版年月
  • 2016年03月
  • ISBN
  • 9784502179518

本書は、『基礎からわかるミクロ経済学』(初版2003年、第2版2007年)を、出版社からの強い要請を受けて改題改訂し、装いも新たに「ベーシック+(プラス)」シリーズの一冊に加えることにしたものです。

本書はミクロ経済学を初めて勉強する人向けのテキストです。

私たちの生活にとって「経済」はたいへん身近な問題です。たとえば、皆さんは買い物をするときに、その商品の価格をみるはずです。野菜や果物の価格は毎日変わっていることに気がついていると思います。野菜の価格が毎日変動するのはなぜでしょうか。毎日、味が変わるからでしょうか?

本書で説明するミクロ経済学を学ぶと、この問題には、誰がどんな理由で野菜を欲しがるのか(需要側の分析)という視点と、誰がどのような理由で供給するのか(供給側の分析)の視点の両方から、アプローチする必要があることが分かります。ミクロ経済学は、単に経済ニュースを理解するためだけに必要なのではありません。複雑な経済の変動のロジックを使って、様々なニュースを現実の生活に活かしていくために利用できます。

私たち著者はそうした力を読者に身につけてもらうことがミクロ経済学の最も大事な課題であるという問題意識を持っているので、本書では、できるだけ皆さんの普段の行動とミクロ経済学の議論とを関連させて説明していきます。読者の皆さん自身も、ここの議論は自分の身の回りに置き換えたらこんなことだろうなと推測しながら読んでもらえれば、理解が一層深まります。そして、そうすることで、自分自身のミクロ経済学が生まれてきます。

今回、「ベーシック+(プラス)」の一冊として出版するにあたっては、『基礎からわかるミクロ経済学』の第2版刊行以降にいただいたコメントを参考にして、説明方法を変更したり、内容を拡充したりしています。さらに、新しく第13章を設けて、ゲーム理論の基礎について説明することにしました。これは、ゲーム理論が急速に発展し、現実の経済問題を考える有益なツールとして定着してきたので、入門レベルの本書においても、取り上げるべきだと考えたためです。

本書の特徴の一つは、普通のミクロ経済学の教科書に比べて、現実の経済に関する話題をより多く取り上げていることです。統計データや話題を最近のものに変えましたので、ミクロ経済学を学ぶことの現実的な意義を感じてもらえるだろうと思っています。

こうした出版の機会が与えられること自体、著者達にとっては大きな励みです。読者の皆さんの声を聞きながら、今後も本書を大事に育てていきたいと思っています。

経済経営研究所・教授 家森信善


目次

  • 第1章 ミクロ経済学で学ぶこと ―イントロダクション
  • 第2章 需要の理論
  • 第3章 消費者行動の理論―需要の理論の背景にあるもの
  • 第4章 供給の理論
  • 第5章 需給曲線と弾力性
  • 第6章 市場の理論
  • 第7章 需要と供給で解く経済問題
  • 第8章 余剰分析で解く経済問題
  • 第9章 外部効果と公共財(市場の失敗1)
  • 第10章 情報の非対称性(市場の失敗2)
  • 第11章 独占(市場の失敗3)
  • 第12章 不確実性のもとでの選択行動
  • 第13章 ゲーム理論