呪者の肖像

呪術を執り行う人「呪者」に焦点を当て、その人となり、個人的技芸などを通して、「呪術とはなにか」という根源的な問いに迫る。

  • 著者
  • 川田牧人, 白川千尋, 関一敏
  • 出版社
  • 臨川書店
  • 出版年月
  • 2019年02月
  • ISBN
  • 9784653043836

~呪術とは何か:呪者に焦点を当てた考察から呪術に迫る~

本書は、個々の呪術の営みの中心にあってそれを執り行なう人、いわゆる呪者の個人的技芸からどれだけ呪術そのものを記述できるかという試みを通して、「呪術とはなにか」という根源的な問いに迫る。

第Ⅰ部は「呪者に会う」と題し、各執筆者がフィールドで出会った呪者(あるいは文献上で出会った呪者)を中心にその人となりを記述する。第Ⅱ部「呪術にせまる」は、呪者のもつ〈わざ〉の側面に重点をおき、実際に実践される呪術の具体像にせまる。第Ⅲ部「呪者と呪術のあいだで」は、人と〈わざ〉の両者がどのくらい可分/不可分なものであるかという観点から、これまでの議論を綜合し、さらに現実/虚構、ホンモノ/ニセモノ、利己/利他、さらには科学/宗教/呪術といったさまざまな狭間に着目した考察を加える。最後に本書のタイトル「呪者の肖像」の発案者である関一敏が、終章「呪者の肖像のほうへ」で、この主題の研究の軌跡をまとめる。

臨川書店 書籍紹介より


『第11章 〈呪力〉の「公共性」』を、国際文化学研究科 教授 梅屋潔が執筆しています。

目次

  • 第Ⅰ部 呪者に会う
    • 第1章 イカサマ呪者とホンモノの呪術―東北タイのバラモン隠者リシ
    • 第2章 鍛錬と天賦―呪者になるためのふたつの経路
    • 第3章 私は呪術師にはならない―知識とともに生きる
    • 第4章 西欧近世における「呪者の肖像」―高等魔術師と魔女
  • 第Ⅱ部 呪術にせまる
    • 第5章 日常から呪術への跳躍 ―ミャンマーにおける「上道の師」と「精霊の妻」の憑依実践
    • 第6章 力と感性―北タイにおける二人の呪者
    • 第7章 タイ北部におけるシャンの在家朗誦師の活動
    • 第8章 冒険する呪者たち―ナイジェリア都市部呪医の実践から
  • 第Ⅲ部 呪者と呪術のあいだで
    • 第9章 治療師としてのふさわしさ ―ヴァヌアツ・トンゴア島の伝統医療と担い手の関係
    • 第10章 妖術師の肖像―タイ山地民ラフにおける呪術観念の離床をめぐって
    • 第11章 〈呪力〉の「公共性」
  • 終章 呪者の肖像のほうへ