カラヴァッジョ《聖マタイの召命》

カラヴァッジョ《聖マタイの召命》

一枚の絵で学ぶ美術史

カラヴァッジョの名画《聖マタイの召命》。この謎多き絵画にまつわる事柄を幅広くわかりやすく説明しながら、西洋美術の奥深さや美術史という学問のおもしろさを紹介。

  • 著者
  • 宮下規久朗
  • 出版社
  • 筑摩書房
  • 出版年月
  • 2020年02月
  • ISBN
  • 9784480683694

カラヴァッジョが一六〇〇年にローマで発表したデビュー作「聖マタイの召命」は、劇的な明暗効果や現実的な描写によって従来の宗教画を刷新し、バロック美術の幕開けを告げた。しかし、この美術史上の名画にはまだわからないことがある。肝心の主人公の聖マタイがどこにいるかで意見が分かれているのだ。これを「マタイ問題」という。この問題をめぐって、宗教改革後の神学論争や、「召命 (ベルーフ)」についてのマックス・ウェーバーのいわゆる『プロ倫』のテーゼを紹介しながら、カラヴァッジョの他の作品や、召命や殉教などの意味を掘り下げて解釈し、高校生にもわかるように説明した。一枚の絵を読み込むことによって、西洋美術の奥深さや美術史という学問のおもしろさがわかるという美術史学への入門書でもある。

人文学研究科・教授 宮下 規久朗


目次

  • 第1章 カラヴァッジョの時代と美術(宗教改革と世俗美術のはじまり/カトリック改革と宗教画の再生 ほか)
  • 第2章 『聖マタイの召命』とは(サン・ルイージ・デイ・フランチェージ聖堂/聖マタイ伝 ほか)
  • 第3章 マタイはどこか(マタイ問題/マタイはどちらか? ほか)
  • 第4章 回心と復活(パウロの回心/第一バージョン ほか)
  • 第5章 死と召命(聖ペテロの否認/お迎えと殉教 ほか)