聖母の美術全史

聖母の美術全史

信仰を育んだイメージ

なぜ聖母はこれほど愛されるのか。キリスト教の祈りの対象にして、西洋美術史を牽引した聖母像。その起源や隆盛、衰退から変容までを追いかける画期的な一冊。

  • 著者
  • 宮下規久朗
  • 出版社
  • 筑摩書房
  • 出版年月
  • 2021年06月
  • ISBN
  • 9784480074010

昨年から一年あまり、授業も会議もオンラインとなって学校も美術館も閉鎖され、海外にも東京にも調査に行けず、飲みに出歩くこともできず、家にこもる日々が続いた。この稀有な機会を利用して、膨大な資料を集めて読み込み、せっせと書いたのが本書である。そのため、分量は予定の倍に膨れ上がり、新書には珍しく474頁のボリュームになってしまった。その意味で本書はまさにコロナ禍の産物である。

人文学研究科・教授 宮下規久朗


目次

  • はじめに 聖母と美術 —なぜ信仰を集めるのか
  • 第1章 聖母像の成立 —イコンと黒い聖母
  • 第2章 中世の聖母 —涙と乳
  • 第3章 ルネサンスの聖母 —「美術の時代」の始まりと危機
  • 第4章 バロックの聖母 —危機の時代の幻視と爛熟
  • 第5章 聖母像の広がり —植民地・民衆への浸透
  • 第6章 東洋の聖母 —インド・中国・日本への伝播と変容
  • 第7章 近現代の聖母 —衰退から変奏へ