The Gospel Sounds like the Witch’s Spell

The Gospel Sounds like the Witch’s Spell

Dealing with Misfortune among the Jopadhola of Eastern Uganda

ウガンダ東部のアドラ民族のあいだで、死や病気などがどのように語られ、解釈され、対処されているのか。その実態を描こうとした民族誌。

  • 著者
  • 梅屋潔
  • 出版社
  • Langaa RPCIG
  • 出版年月
  • 2022年02月
  • ISBN
  • 9789956552412

本書は、ウガンダ東部のアドラという民族のあいだで、死や病気などの不幸の経験や出来事がどのように語られ、解釈され、そして彼らがそれらに対処しているのか、その実態を描こうとした民族誌である。「妖術のモダニティ」に代表される、現代社会における妖術の復活という、斯界で主流となっている考え方を相対化し、呪術的思考と現代社会とをより複雑に結びつける関係論的な「蜘蛛の巣モデル」を提出する。アドラ人の生活様式に深く埋め込まれた「呪詛」の概念をたどりしながら、呪いから不幸、また福音のとらえ方へと読む者をいざない、文化、宗教、国家、近代を織り交ぜながら、生きた経験を描き出そうとしている。小さな問題としては、聖書にもある「呪詛」の概念が、アドラとキリスト教のコスモロジーが結び付けられたのか、大きく見ると、近代というものに対する独自の対応や抵抗なのだろうか。呪術や妖術という、アフリカ研究の先行研究を踏まえた、20年以上にも及ぶフィールドワークの成果である。

国際文化学研究科 教授 梅屋 潔