現代の人気マンガ6作品『鬼滅の刃』(吾峠呼世晴)、『ゴールデンカムイ』(野田サトル)、『さんかく窓の外側は夜』(ヤマシタトモコ)、『HUNTER×HUNTER』(冨樫義博)、『鋼の錬金術師』(荒川弘)、『岸辺露伴は動かない』(荒木飛呂彦)に登場するキャラクターたちの“数奇な運命”。伝承文学研究の視点から、「運命」「生と死」にまつわるモティーフを解釈する。「大衆のための文学」と呼ばれてきた民間伝承の研究者が、現代における「人々のための物語」であるマンガ作品について論じる。
国際文化学研究推進インスティテュート 学術研究員 植朗子
目次
- 1章 「運命」を決める絶対的存在――山の神々と露伴のバトル 〈荒木飛呂彦『岸辺露伴は動かない』より「富豪村」〉
- 2章 死者と呪いと生きる「さだめ」――冷川・三角の肉体と除霊のルール 〈ヤマシタトモコ『さんかく窓の外側は夜』〉
- 3章 「人生」の決断と死人との別離――月島軍曹が愛した生者と死者 〈野田サトル『ゴールデンカムイ』〉
- 4章 宿命の恋、「死」に向かう愛――異形の王と人間との異類婚姻譚 〈冨樫義博
- 5章 死を与える能力で切り拓く「未来」――マスタング大佐の心と焰 〈荒川弘『鋼の錬金術師』〉
- 6章 「終生」つづく死者との約束――最終決戦で生き残った柱はなぜあの二人なのか 〈吾峠呼世晴『鬼滅の刃』〉