バロック美術

バロック美術

西洋文化の爛熟

17世紀を中心に花開いた西洋文化の頂点、バロックの絵画・彫刻・建築を、7つのテーマに沿って論じる。カラー写真200点以上とともにバロック美術の本質を読み解く。

  • 著者
  • 宮下規久朗
  • 出版社
  • 中央公論新社
  • 出版年月
  • 2023年10月
  • ISBN
  • 9784634640993

西洋文化の頂点、バロック美術。17世紀を中心に花開いたバロックの建築・彫刻・絵画は、ルネサンス期の端正で調和のとれた古典主義に対し、豪華絢爛で躍動感あふれる表現を特徴とする。本書は、カラヴァッジョ、ルーベンス、ベルニーニ、ベラスケス、レンブラント、フェルメールらの代表的名作を網羅し、美術史上の位置づけ、聖俗の権力がせめぎ合う時代背景など、バロック美術の本質を読み解く。時代ごと地域ごとではなく、7つのテーマに沿って論じた。

本書は企画をいただいてから20年以上たち、還暦を迎えた今年にようやく書いたものだが、私の長年の研究の成果となっているため、今までの拙著や論文と重なる部分もある。日本では意外なほどバロック美術の入門書はなかったが、本書は入門書であると同時に近年の美術史学の成果を盛り込んだ学術書となっている。新書には珍しく、カラー写真200点以上で、手に取ってご覧いただければ幸いである。

人文学研究科・教授 宮下規久朗


目次

  • 第1章 聖 カトリック改革とバロックの舞台
  • 第2章 光と陰 カラヴァッジョの改革とその系譜
  • 第3章 死 殉教と疫病
  • 第4章 幻視と法悦 幻視絵画から総合芸術へ
  • 第5章 権力 教皇と絶対王政
  • 第6章 永遠と瞬間 古典主義と風俗画
  • 第7章 増殖 辺境のバロック