科学と非科学

科学と非科学

その正体を探る

科学と非科学のはざまに焦点を当てたサイエンスエッセイ。果たして科学は現代社会で広く信じられているほど万能で絶対的なものなのかを問いなおす。

  • 著者
  • 中屋敷均
  • 出版社
  • 講談社
  • 出版年月
  • 2019年02月
  • ISBN
  • 9784065150948

本書は、現代社会で広く信じられている「科学は、世界の真理をすべて解き明かし、それを説明できる」とする考え方を、今一度、見直してみませんか?という趣旨のエッセイ集です。科学という体系が、世界を説明する方策として、現時点で、他の何より優れているものであることは間違いないと思います。しかし、科学的真理と呼ばれているものの多くは、現在、そう考えるのが最も妥当であるということに過ぎず、この先、変わっていくことがありうる仮説の集合体です。

世界の姿は、決して確定的なものではなく、煎じ詰めれば、「分からない」ことに覆われているというのが本当ではないかと思います。科学がいかに発展しようと「ゼロリスク」のようなものはありません。科学信仰に陥るのではなく、「分からない」を含有した科学観を育てることが、本当の意味で、私たちがこの世界と向き合い、生きていく道になるのではないのか?そんなことを問いかけています。

大学院農学研究科 教授 中屋敷 均


目次

  • 序 バーバラの見た夢
  • 第1部 神託を担う科学
    • 第1話 デルフォイの神託
    • 第2話 分からないこと
    • 第3話 消える魔球
    • 第4話 無限と有限
    • 第5話 科学と似非科学
    • 第6話 科学は生きている
    • 第7話 科学と非科学のはざまで
  • 第2部 不確かな科学とともに
    • 第8話 ドイツの滑空王
    • 第9話 リスクととともに
    • 第10話 アフリカ象と大学人
    • 第11話 「無駄」と科学
    • 第12話 閉じられたこと
    • 第13話 この世に「形」を生み出すこと
    • 第14話 確率の話