金融論

金融論

ベーシック+

初学者向けの金融論の入門テキスト。現実の経済に関する話題を多く取り上げ、金融論を学ぶことの現実的な意義を伝える。

  • 著者
  • 家森信善
  • 出版社
  • 中央経済社
  • 出版年月
  • 2016年03月
  • ISBN
  • 9784502185014

本書は、2004年に上梓した『はじめて学ぶ金融のしくみ』を、出版社からの強い要請を受けて改題改訂し、装いも新たに「ベーシック+(プラス)」シリーズの一冊に加えたものです。

本書は、初学者向けの金融論の入門テキストです。

テキストを執筆するに当たって、教師なら誰でも、ついつい、あれも知っていて欲しい、これも知っていて欲しいと欲張りになってしまいます。しかし、勉強できる時間が限られているのに、あれもこれも詰め込んでは、読者の皆さんが消化不良になってしまいかねません。そうすると、「金融は難しい」というトラウマだけが残ってしまう心配があります。そこで、本書は、あくまでも金融に関心を持ってもらうための最初の一歩であると位置づけて、最近の金融の諸問題を理解する上で、初学者にどうしても知っていて欲しいことを厳選しました。

本書の特徴の一つは、金融論を学ぶことの現実的な意義を感じてもらうために、普通の金融論の教科書に比べて、現実の経済に関する話題をより多く取り上げていることです。本書ではさまざまな統計を使って図表をつくっていますが、その図表を眺めるだけでなく、それらの最新データを探してみることをお勧めします。適切なデータや情報を探し出すことは、これからの皆さんにとって非常に重要な力です。

金融の分野では、新しい話題が次々と登場しますし、それをさまざまなメディアが取り上げていますので、データや情報を探すという実践的な力を付けるのに適しています。その力は、これからの生活に役に立ちます。たとえば、住宅ローンを借りるときに、申し込んだ銀行から提示された金利が他に比べて高いのか安いのかを調べることができれば、銀行に対して金利の値下げ交渉ができるかもしれません。是非、受け身の講義だけでは得られない、生きていく力を身につけるつもりで勉強してください。

本書の前身である『はじめて学ぶ金融のしくみ』は、2004年に初版、2008年に第2版、2011年に第3版、2013年に第4版と、数年おきに改訂を行ってきました。著者にとっては、数年おきのテキスト改訂は、金融の現実が大きく変化する中で、今の最も大事な金融問題を選びだし、それを初学者の皆さんにいかに伝えたら良いのかを模索してきた苦闘の歴史でした。本書でもその模索を続けました。

こうした出版の機会が与えられることは、著者にとって大きな励みです。読者の皆さんの声を聞きながら、今後も本書を大事に育てていきたいと思っています。

経済経営研究所・教授 家森信善


目次

  • 第1章 金融論で何を学ぶか
  • 第2章 貨幣
  • 第3章 金利
  • 第4章 金融政策のためのマクロ経済学
  • 第5章 金融政策の課題と日本銀行
  • 第6章 金融政策の基本手段と新しい展開
  • 第7章 金融システムと金融仲介機関の役割
  • 第8章 銀行以外の金融機関
  • 第9章 金融システムの安定化のための政策
  • 第10章 金融機関の破綻への対応策
  • 第11章 金融市場に関する規制
  • 第12章 間接金融型の金融商品
  • 第13章 直接金融型の金融商品
  • 第14章 ファイナンスの基礎理論