神戸 闇市からの復興

神戸 闇市からの復興

占領下にせめぎあう都市空間

「日本一の大闇市場」とも称された神戸・三宮。戦災復興の原点となった闇市における当時の人びとの活動を、新聞記事の引用と聞き取り調査などにもとづいて描く近現代史。

  • 著者
  • 村上しほり
  • 出版社
  • 慶應義塾大学出版会
  • 出版年月
  • 2018年11月
  • ISBN
  • 9784766425666

第二次世界大戦が終わり、焼け跡となった神戸の駅前には、民族や年齢、性別の異なる多様な民衆が生きる手段を求めて集まり、やがて「大闇市」を形成していった。

本書は、戦災復興の原点となった闇市の発生から衰退までの軌跡を辿り、そこから新たな商業空間が根付き、また展開していく過程を描き出す。

戦災復興期はGHQ占領期(1945‐1952年)と重なる。瀬戸内海に面した陸海交通の要衝として栄えた神戸には、戦後も変わらず人・物の流れが集中した。「何でも揃う」神戸の闇市を舞台に、民衆はGHQや地方自治体の政策と激しく衝突し、折衝を繰り返しながら、新たな組織を結成し、新興市場を築き、商店街を復興させていった。さらに、目を見張る速度で国際港都として復興に向かう姿と神戸で売られる物資の魅力は、戦後の観光復興の資源としても大いに注目を集めていく。

新聞の悉皆調査をはじめ、日米の公文書、豊富で多彩な図像資料、インタビュー調査といった多角的な資料分析にもとづき、これまで忘却されていた占領下神戸のせめぎあいを民衆の視点から生き生きと再現する!

慶應義塾大学出版会 書籍紹介より


目次

  • 序章 海港都市・神戸をめぐるせめぎあい
  • 第一部 戦災と占領 ――近代都市の戦後
    • 第一章 海港都市の近代化
    • 第二章 戦災と復興の初動
    • 第三章 GHQによる神戸の占領政策
  • 第二部 GHQ占領下の闇市
    • 第四章 闇市の生成と変容 ――三宮・元町・湊川新開地
    • 第五章 記録・表象にみる闇市
  • 第三部 闇市からの復興
    • 第六章 在日朝鮮人のサバイバル ――三宮国際マーケット
    • 第七章 雑業者の台所 ――三宮ジャンジャン市場
    • 第八章 轟音直下のマーケット ――鉄道高架下のふたつの商店街
    • 第九章 引揚者の拠り所 ――湊川公園商店街
    • 第十章 暮らしと観光の復興
    • 終章 戦後神戸の都市空間とせめぎあい ――占領・復興・震災後