Bouncing Back

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Critical reflections on the Resilience Concept in Japan and South Africa

ともに大規模な災害で苦しめられてきた日本と南アフリカ。地域も災害の内容も異なる二国間の交流事業から生まれた、災害に対する人々の生活実践を多様な角度から考察した論文集。

  • 著者
  • 榎本珠良, Marlon Swai, 梅屋潔, Francis B. Nyamnjoh 編
  • 出版社
  • Langaa RPCIG
  • 出版年月
  • 2022年11月
  • ISBN
  • 9789956552238

本書は日本(JSPS)と南アフリカ(NRF)の「二国間交流事業」の成果である。2018年、南アフリカのケープタウンは、世界で初めて「水を使い切った都市」として世界的に注目された。もともと困難な社会、経済、政治的な問題に苦しんでいた人々は、この水不足でさらなる苦境に立たされた。一方、日本も頻繁に大規模な災害に直面してきた経験を持っている。直近では、2011年の津波と福島第一原子力発電所の事故は記憶に新しい。日本、南アフリカという地域も災害(人災、自然災害)の内容も異なるが、ともにその苦境を語る際にはしばしばレジリエンスという言葉が用いられる。社会の災害への対応、ヴァルネラブルな人々への対応を考えるさいの鍵概念として注目を集めている。しかし、その用法は多様かつ、しばしば問題含みで、徹底的に再検討する余地がある。

本論文集は、学際的な視点とマルチサイトで行われた研究をもとに、多様な角度から人々の生活実践を考察している。何人かの執筆者は、「レジリエンス」を、現代において最も重要な問題を検討するための、かわりゆくレンズとして捉えている。

一見、地政学的に異なる2つの地域から集められた議論は、災害に対する集団および個人の反応という問いに光を当て、感動的なつながりを見せるはずである。

本書扉 概要より(要訳:国際文化学研究科 教授 梅屋 潔)