「植物」をやめた植物たち

「植物」をやめた植物たち

月刊たくさんのふしぎ

キノコなどの菌類を食べて生活する、ちょっと変わった植物たち。

  • 著者
  • 末次健司
  • 出版社
  • 福音館書店
  • 出版年月
  • 2023年08月
  • ISBN
  • -

植物にとってもっとも大事な「光合成」をやめた植物たちがいます。日本だと、沖縄から北海道まで、もちろん海外にもたくさんの種類がいますが、まだまだ新種が見つかるぐらい、その存在は知られていません。というのも、彼らの多くは暗い林床に生えており、小さくて見つけにくいものも多いのです。葉緑素がないので緑色をしておらず、カラフルでユニークな姿をしたものもたくさんいます。

また、姿だけではなく、その生き方も独特です。光合成をする普通の植物は、菌類に栄養を与えるかわりに、水や肥料をもらっています。ところが光合成をやめた植物は、自分の根にやってきた菌糸を消化し、栄養にしてしまうのです。また、腐ったキノコの匂いを出してハエに花粉を運ばせたり、カマドウマに果実を食べてもらってタネを広く分布させるなど、ほかの生き物たちとの関わり方も変えたものもたくさんいます。「普通の」植物とはちょっと違う生活をご紹介します。

理学研究科 教授 末次健司