ラテンアメリカ所得格差論

ラテンアメリカ所得格差論

歴史的起源・グローバル化・社会政策

ラテンアメリカが抱える所得格差問題。その歴史的起源、グローバル化、社会政策を再検討し、政府と市民社会との連携・創造的発展を模索する。

  • 著者
  • 浜口伸明
  • 出版社
  • 国際書院
  • 出版年月
  • 2018年08月
  • ISBN
  • 9784877912918

ラテンアメリカ諸国が豊かな天然資源を持ちながら安定的な経済発展を実現できない状況において、所得格差問題は歴史的に形成された前提条件であると同時に、不安定な経済発展過程で格差を維持ないし拡大する自己組織化のメカニズムを内在する構造的問題でもある。

本書はこのような視点を持ち、グローバル化や経済自由化が進むラテンアメリカにおいて、社会の複雑な相互作用が引き起こしている発展停滞の現状を読み解くことを目的としている。

政府が社会政策によりどのように対処しているのか、また市民社会が連帯して「下からの」対応をどのように試みてきたのかについても述べられている。類型化した2つの典型例としてメキシコとブラジルの事例分析も行っている。

経済経営研究所 教授 浜口 伸明


目次

  • 序章 ラテンアメリカが抱える「構造的問題」として所得格差を読み解く
  • 第1章 所得格差問題からラテンアメリカを視る意義と意味: 先行研究の検討と経済学理論を用いた分析から
  • 第2章 ラテンアメリカにおけるグローバル化と所得格差の関係: 「メキシコ・中米型」と「南米型」にみる影響経路の違い
  • 第3章 ラテンアメリカにおける所得分配と社会政策: 条件付き現金給付は「世代間の貧困の罠」を断ち切れるのか
  • 第4章 ラテンアメリカの格差社会に対抗する連帯経済という選択: 市場の規制と消費者との連帯が拓くオルタナティブとしての可能性
  • 第5章 メキシコにおける所得格差の変遷: 地域間格差、グローバル化、インフォーマル部門の考察から
  • 第6章 ブラジルにおける経済発展と格差縮小の要因: マクロ経済の安定化と労働市場の変容から探る